ユネスコ食文化創造都市
山形県鶴岡市が、日本で初めてユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の食文化部門の都市として2014年に認定されました。鶴岡市のあちこちにある看板やパンフレットなどで、ユネスコの赤いロゴマークが目に入ってくることでしょう。映画部門では、2017年に日本で初めて山形市が認定されています。
鶴岡市は、山と海に囲まれた庄内平野が広がっています。一面に広がっている庄内平野は、四季折々の姿を魅せてくれます。春には山菜やきのこなどの山の幸、夏にはだだちゃ豆や民田なすなどの里の幸、秋にはお米や庄内柿、冬にはサクラマスや寒鱈など海の幸が収穫されます。
このように春、夏、秋、冬の季節を通して豊かな食材に恵まれている鶴岡市。鶴岡市で収穫されるだだちゃ豆や温海カブなどは、生きた文化材として受け継がれている在来作物です。だだちゃ豆や温海カブの他に、在来作物が50種類以上存在しています。
出羽三山 精進料理
春夏秋冬それぞれの季節に応じた食材に恵まれている鶴岡市ですが、その食材の調理方法や保管方法は出羽三山の修験道文化が強く影響しています。精進料理といえば、冠婚葬祭で食べる料理というイメージが強いことでしょう。出羽三山で受け継がれている精進料理は、山菜が中心の伝統食です。出羽三山の一つ羽黒山の宿坊では今なお伝統食である精進料理が振る舞われ、多くの参拝客を魅了しています。
ミラノ万博に出展
ユネスコ食文化創造都市に認定されている鶴岡市は、2015年に開催されたミラノ国際博覧会に出展しました。ミラノ万博には、イタリア料理店「アル・ケッチァーノ」奥田政行シェフによるデモンストレーションや出羽三山精進料理「ごま豆腐」などが振る舞われました。また、山伏のほら貝体験も催され多くの人で賑わいました。鶴岡の食文化を世界にアピールする良い機会となったことでしょう。
四季折々 鶴岡の食文化
豊かな食文化を継承している山形県鶴岡市。鶴岡市の旬の季節に応じた在来作物や食文化、郷土食をご紹介します。
春の郷土料理 孟宗汁
山形県庄内地方の春の郷土料理といえば、孟宗汁でしょう。孟宗とはタケノコのことですが、厚揚げやシイタケと一緒に煮こんで味噌と酒粕で味付けする孟宗汁が食卓を飾ります。煮こんで柔らかくなった孟宗がなんとも美味しいです。この時期になると、庄内地方の家庭ではたくさん孟宗を頂いたりスーパーの店頭に並んだりと孟宗づくしになる家庭が多いことでしょう。
夏 だだちゃ豆
だだちゃ豆といえば、日本で有名な枝豆として名が知れ渡っているのではないでしょうか。一粒食べると、甘みと旨味が口の中に広がり食べるのを止められなくなります。だだちゃ豆を枝豆ご飯にしても美味しいです。
また、鶴岡の夏の名物の一つといえば、民田なすでしょう。様々な漬物にして食べられています。松尾芭蕉「奥の細道」の初なすびが、民田なすともいわれています。
庄内の芋煮汁
秋の名物料理といえば、芋煮汁が有名でしょう。鶴岡で収穫される里芋は、からとりいもと呼ばれえぐみの少ない品種です。豚肉や厚揚げ、しめじやネギなどを煮込んで味噌で味付けをする庄内風芋煮汁。からとりいもを芋煮汁にして食べると、絶品です。
庄内柿
秋が旬の果物の一つ、庄内柿は鶴岡市の天然記念物に指定されている一品です。種無しで食べやすく、甘みがあり美味しい果物です。
寒い季節に納豆汁
吹雪でこごえ寒い冬の季節のソウルフードといえば、納豆汁や寒鱈汁でしょう。特に納豆汁は、12月8日の大黒様のお歳夜にも使用される伝統食であり、行事食でもあります。大黒様のお歳夜には、ハタハタや焼き豆腐の田楽、黒豆のご飯やなますなどが各家庭で供えられます。冬の時期に納豆汁や寒鱈汁は家庭で食べるだけではなく、地元の小中学校の給食、居酒屋や割烹料理屋、旅館などで多く提供されています。納豆汁や寒鱈汁を食べると、凍えた身体が温まります。
温海かぶ
山形県の在来作物の中で最も古いといっても過言ではないのが、温海かぶです。冬に収穫の最盛期を迎えます。400年以上の歴史を持っているともいわれ、漬物にして食べられています。
最後に
ユネスコ食文化創造都市に認定された山形県鶴岡市の食文化についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。今回ご紹介した鶴岡市の在来作物は、まだまだたくさんあります。外内島きゅうりや小真木だいこん、食用菊の延命楽などご紹介しきれないほどです。このような先人たちから受け継がれてきた歴史があり、貴重な食文化を後世に残していくことが私たちのお役目であることを感じました。
店舗詳細
名称 | ユネスコ食文化創造都市 鶴岡市 |
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